八幡東区尾倉二丁目6-5
八幡市民会館
芸術院会員で文化勲章を受章した八幡ゆかりの建築家・村野藤吾が設計した建物がこの尾倉界隈に3点あります。八幡市制(当時)40周年を記念して昭和33年10月に完成した八幡市民会館はその代表格です。同氏の作品・小倉市民会館が取り壊されたいま、貴重な遺産となりました。
八幡市民会館は鉄骨鉄筋コンクリート建て、地下1階、地上4階、延べ面積4674平方メートルで、収容定数は1450人です。建物の特色は①バリアフリーを先取りした広く緩やかな吹き抜け階段②1階の広いホワイエと外側にある広大なベランダ③背景の帆柱山系を意識した鋭いエッジのシルエットと風格ある茶褐色タイル外装――などで、このほか板張り内装と空間配慮によるホールの良質な音響効果は好評です。
藤吾は1891年唐津で生まれたのち八幡で育ち、小倉工業学校機械科→八幡製鐵所→兵役→除隊→早稲田大電気学科→同建築学科→27歳で卒業というやや異色の経歴の人。渡辺節建築事務所を経て1929年に独立しましたが、八幡市民会館完成の際には「郷里に拙作を残す機会を与えられ光栄の至りです」とのコメントを寄せています。
同会館の北側約100メートルには、藤吾設計による旧八幡信用金庫(現福岡ひびき信用金庫)の本店(1971年完成)と北西側に隣接して市立八幡図書館(1955年完成)があります。藤吾は93歳(1984)で他界するまで建築に携わりました。
現在は閉館中です。