八幡東区高見一丁目1-1
公餘倶楽部(高見倶楽部)
明治後期の官営八幡製鐵所の発足当時、迎賓や社交の場として八幡村の豪邸を構内に移築し「公餘倶楽部」と名付けて開設されたのが第1代の倶楽部です。「公餘」の名は公務の余暇の意味からとされています。製鐵所構内の拡張に伴って、ドイツ人顧問技師・グスタフ・トッペの豪華な宿舎や長官官舎が現在の高見に移された際、トッペがすでに帰国していたので、その宿舎が2代目の公餘倶楽部にされました。
現在の建物は昭和3年に建てられた3代目です。建設に当たり、当時の中井製鐵所長官はVIPが利用する奈良ホテル(辰野金吾設計)をモデルにするよう命じ、参考にされました。名称も高見倶楽部と呼ばれるようになりました。
建物は木造平屋、一部2階建てで、戦後、中央部の宴会室・宿泊棟が鉄筋コンクリート2階建てに改築されました。その他の部分、正面玄関・応接室・会議室や使用されていない撞球室、奥のVIP滞在室は当初の形式を残しています。深紅の絨毯に彩られた廊下や窓、障子の繊細な意匠は「歴史ある迎賓施設」の雰囲気を漂わせています。