八幡西区藤田一丁目5-28 浄蓮寺
火除け地蔵
今から百五十年以上もむかし、文化年間のお話です。黒崎あたりは、火事の多いところでした。ある年、岩洞山(今の河頭山)で、山火事がありました。
火を消すため藤田村の与三ヱ門も、山道を急いでいると、「与三ヱ門、」と、 名前を呼ぶ声がします見ると、岩穴がありそのなかにお地蔵さまが立っています。
そして「与三ヱ門よ、ここは熱くてたまらん。わしを背負つって連れだしておくれと」、
言っているようでした。与三ヱ門は、お地蔵さまを背負って山を下りかけました。
ところが、お地蔵さまは重く、二、三ぽ歩いて、倒れかけました。
思わず、 そばにあった小松につかまると、この小松が抜けましたそして、この小松を杖にすると、 不思議なことに今までの重さがうそのように軽くなりました。
降ろそうとすると、 お地蔵さまが背中にくっついてはなれません。しかたがないので、与三ヱ門は背負ったまま、 自分の家の近く来ました。
与三ヱ門は、そこにお堂を建てて、お地蔵さまをまつり、 杖がわりに使った小松をそばに植えました。
その後、黒崎のあたりは、何度も大火事になりましたが不思議に、お地蔵さまと与三ヱ門の家だけは焼けずに残ったということです。 村人たちは、このお地蔵さまを"火除け地蔵"と呼ぶようになり、なりました。このお地蔵さまは、今でも藤田の浄蓮寺にまつられています。