八幡西区楠橋 真名子
饅頭石
いまの八幡西区楠橋の真名子あたりに、むかし饅頭を売るおばあさんが おりました。 「饅頭はいらんかね」と声をかけていました。旅人が休憩がてらに食べたり、 村人が子どもに買ってやったりして、並べた饅頭も夕方になると残り少なくなって いました。
ある日、おぱあさんが店先に立って、通る人たちに声をかけていると、 旅の坊さんが近づいてきました。お坊さんの身なりは汚れて、たいへんみすぼら しく見えました。
お坊さんは店先にたつと、「その饅頭を一つくださらんかと、 言いました。おぱあさんは、饅頭を三つばかりつかむと、 「これはくわれん饅頭じゃほら。」と言って饅頭をほうり投げてしまいました。
饅頭はお坊さんの足元にころがりました。お坊さんは悲しそうに、 地面にころがった饅頭とお婆さんの顔を眺めておりましたが、なにも言わずに 去っていきました。
「よごれた坊主を追いはらってせいせいした。」と、 お婆さんが思いながら店先の饅頭をみると並べてあった一口饅頭は、 みんな黄色い固い石になっていました。投げた饅頭も石になっていました。
今でもこの付近では饅頭に似た石が掘りだされる事があるそうです。現在は真名子公民館・八幡西生涯学習センター資料室で見ることが出来ます。