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八幡東区中央三丁目

高炉台公園

 むかしむかし、今の八幡東区に、諏訪明神という神様がすんでおられました。この明神さまに「おくま」という村人から可愛がられていた女狐が仕えていました。
 春先の、まだ帆柱山にうっすらと雪が残り冷たい風の吹く日に、おくまは諏訪明神さまのお使いで、戸畑村の名護屋明神さままで手紙を届けることになりました。
 村を通っていると人気者のおくまですから、あちこちから「寄っていかないかい。」などと声が掛かりますが、先を急いで名護屋明神さまの所へやって来ました。
 ところが、明神さまはお留守です。大事な手紙を誰かに預けるわけにも行かず、お帰りを待つことにしました。お腹が空いてきますが、神さまのお使いが終わるまで飲食出来ないきまりです。
 おくまは手紙を口にくわえて、じっと待っていましたが、四日たっても明神さまは帰って来られません。五日目の夕方、やっと帰って来られたので、急いで返事を持って帰ることになりました。
 五日間、何も口にしていなかったおくまは、気力で頑張りましたが、諏訪明神さまのお住まいの山の麓まで帰ってきたところで、ついに倒れ息を引き取りました。
 諏訪明神さまや村人達は大変悲しみ、おくまを「おいなりさん」として祀りました。それから、誰からとなく「おくま山」と呼び始め、それが現在の「熊本山」になったといわれています。

【アクセス】 バス停、中央三丁目より徒歩5分 「高炉台公園」